ヘルスケア分野の海外進出|コンサルの力でリスクをチャンスに

医療・ヘルスケア分野での海外進出を検討する企業にとって、各国の市場特性や規制対応は避けて通れない課題です。

特に成長が著しいアジア市場では、日本製品への信頼性が高い一方で、文化や制度の違いが大きなハードルとなります。そこで注目されているのが、現地に精通したコンサルの活用です。

こちらでは、バイオ・医療機器分野における海外展開の実践例を交えながら、アジア市場で成功するための具体的な戦略をご紹介します。

バイオベンチャーのグローバル展開と現地市場への適応戦略

研究室での細胞培養の様子

医薬・創薬・再生医療などを手がけるバイオベンチャーにとって、海外市場への展開は、技術の社会実装と企業成長を加速させる重要な戦略です。しかし同時に、資金調達、治験環境、販路確保といったハードルが多く、国内だけのノウハウでは乗り越えづらい課題が待ち構えています。

開発型企業ならではの課題とは?

バイオベンチャーは多くの場合、プロダクトの上市までに長い開発期間を要し、その間の資金繰りが大きな壁となります。とりわけ新興国を含む海外市場では、治験制度の違いや患者のリクルートの難しさが障壁となり、単独での事業展開には時間もコストもかかりやすいのが実情です。

また、海外では規制対応が国ごとに大きく異なり、承認取得の手順や必要データも変わります。こうした環境下で販路や信頼を獲得するには、現地の制度への適応力が必要です。

成果を出すには現地連携が鍵

実際にグローバルで成果を出しているバイオベンチャーの多くは、現地プレイヤーとの連携戦略を重視しています。

ライセンスアウトモデルの活用

プロダクトや技術の一部をライセンス供与し、現地での展開をパートナーに委ねる

大学・研究機関との共同研究

信頼性の高いデータ取得と現地研究者との接点づくりに効果的

これらのモデルに共通するのは、自社リソースだけに依存せず「現地の力」を戦略的に組み込む姿勢です。

現地ニーズに応える視点が成功を分ける

グローバル展開では単に製品を持ち込むのではなく「誰のどんなニーズを満たすのか」を、その市場特有の医療事情や文化背景から見極めることが求められます。

例えば、以下のような視点が重要です。

  • 疾患構造の違い(例:アジアでは肝疾患、アフリカでは感染症領域が注目)
  • 文化的価値観の違い(例:終末期医療の受け入れ方や医療行為への信頼度)
  • 保険制度の整備状況(自己負担率が高い国では価格感への配慮が必要)

このように、市場のニーズを的確に捉えることが成功の鍵です。そのためにも、医療事情や文化背景など、現地の実情を深く理解したうえで戦略を練ることが、グローバル展開の成功へとつながります。

バイオベンチャーにとって海外展開はチャンスである一方、課題も多岐にわたります。単独で挑むのではなく、現地の制度・商習慣・医療課題に合わせて戦略的に協働関係を築くことが大切です。

【アジア市場】日本製医療機器の展開戦略

最新医療機器が配置された病室

急速に成長するアジア市場、特にASEAN諸国では、医療機器分野における日本製品への信頼が着実に広がっています。高い品質基準、堅牢な設計、安全性への配慮といった特徴が評価され「日本製=信頼のブランド」として多くの医療現場で受け入れられつつあります。

ただし、参入すれば自然と売れるという時代ではありません。所得層や医療アクセスの格差が大きい市場においては、ターゲティングと展開戦略の設計が鍵を握ります。

高品質・安全性が武器になる日本製医療機器

アジア諸国では、自国製品や低価格品が多く流通する中で、日本製医療機器は「長持ちする・安心して使える」という理由で選ばれる傾向があります。

特に病院側が重視するのは、正確な測定精度、故障率の低さ、保守対応のしやすさといった運用面での信頼性です。また、日本企業のきめ細やかなユーザーサポートや説明資料の充実も、導入決定の後押しとなります。

このような背景から、富裕層向けクリニックや私立病院を中心に、導入事例が増加しています。

市場ターゲティングの工夫が差を生む

ASEAN諸国では、都市と地方、富裕層と中低所得層の間で、医療アクセスに大きな格差があります。このため、単に「国単位」で考えるのではなく、エリアやターゲット層ごとに展開方法を変える柔軟性が求められます。

  • 都市部の私立病院:価格よりも品質・実績・サポート体制を重視
  • 地方の公立病院やクリニック:価格補助や耐久性を重視した導入モデルが有効

また、地域によっては導入にあたって政府の認可や登録制度の対応が必須となるため、制度面の下調べも欠かせません。

ベトナムでの展開事例

ベトナムでは、日本製の超音波診断装置や、患者モニターが私立病院を中心に導入されています。現地ディストリビューターと連携したデモ機の提供や、トレーニングを組み込んだ導入プロセスにより、着実にシェアを拡大しています。

アジア市場で日本製の医療機器を展開するには、高品質・信頼性という強みを武器にしながらも、現地の医療体制や経済環境に即した戦略を考える必要があります。

そのために、市場ターゲットの明確化、現地パートナーとの連携、制度対応への備えが3本柱となります。進出前には、スポットコンサルなどを活用して、国別・層別の市場特性や規制情報を整理することで、リスクを抑えられます。

各国ヘルスケア規制の違いを踏まえた海外進出戦略

医療機器やバイオ製品を扱う企業にとって、海外進出の成否を左右する大きな要素の一つが各国の規制対応です。品質や技術力が高くても、現地での認可が得られなければ販売はできず、進出の足止めとなります。

実際、医療分野では国ごとに規制の内容や承認プロセスが大きく異なるため、事前調査と対応戦略が不可欠です。

医療機器・バイオ製品の規制は国ごとに異なる

各国の医療行政は独自に運用されており、医療機器・バイオ製品の扱い方もバラバラです。例えば、以下のような違いがあります。

日本

高リスク機器に対して、厳格な品質管理・GCP準拠の臨床試験が求められる

アメリカ

510(k)申請などで同等品との比較を通じた迅速審査もあるが、書類の精度が厳格

シンガポール

CEマークやFDA認可を一部認める制度があり、比較的審査が効率的

また中国では、独自の登録制度やローカル臨床試験の義務付けが存在し、手続きに1年以上かかるケースも珍しくありません。義務付けでなくとも、中国の医療機器ディストリビューターは中国国内での臨床試験の実施を好む傾向が強いです。台湾での臨床試験の結果を中国でアピールしても全く響かないといったケースもよくあります。

リスクを回避するための規制調査

グローバル展開において、法規制は「後から対応するもの」ではなく「事前に組み込むべき前提条件」です。どの国に・どの製品を・どの順番で展開するのかを決める際には、以下のような視点での調査が求められます。

  • 製品クラス分類の違い(国によりハイリスク・ローリスクの分類基準が異なる)
  • 臨床データの受け入れ条件(他国の試験データを活用できるか)
  • ラベリング、使用言語、販売資格などの運用要件

こうした情報は、公式サイトだけでは把握しきれないことも多く、現地のコンサルやスポットコンサルによる確認が有効です。

承認プロセスを見越した戦略

複数国への進出を目指す場合、各国の制度を見越して、承認申請や市場投入の順序を戦略的に設計することが重要です。具体的な戦術例は以下のとおりです。

並行申請

アメリカとシンガポールのように、審査内容に共通点のある国で同時申請を行い、展開スピードを高める

先行国の承認実績を他国に活用

FDAやCE認可を得た後、それを前提に他国での申請を簡略化する

ローカル代理店の活用

各国での登録・販売を現地パートナーに任せることで、運用負担を軽減

これらは、時間とコストを最適化しながら、複数国での同時展開や段階的進出を可能にする手段となります。

医療機器・バイオ分野の海外進出は、各国の法制度を深く理解したうえで戦略を考える必要があります。製品や市場に合わせて、どの国から・どの順で攻めるかを判断するためには、専門家との連携が不可欠です。

初期調査ではスポットコンサルを活用して、現地の実務事情や申請条件を事前に確認するのがおすすめです。株式会社GlobeNexusが提供するスポットコンサルティングサービス「セカイズカン」では、知見を求める企業と現地に詳しい専門家をつなぎます。

海外進出に関してご不安な点がありましたら、まずはお気軽にご相談ください。

【ヘルスケア】コンサルを活用した海外進出なら株式会社GlobeNexus

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