【インド】海外進出に潜む法規制リスクとは？スポットコンサルでリスク把握

急成長するインドのモビリティ市場

インド政府は、「FAME II（電動モビリティ普及促進政策）」をはじめとするEV普及の国家戦略を掲げ、公共交通や個人移動手段の電動化を積極的に推進しています。

これに呼応するように、電動スクーターや三輪EV、カーシェアリング、ライドヘイリング（配車アプリ）といったサービスが都市部で浸透しはじめています。

特に二輪車は、インド国内で年間2,000万台以上が販売される巨大市場であり、EV化への転換は今後の成長ドライバーと見られています。

未整備なインフラと求められる「現実解」

EV普及における最大の課題は、充電インフラの未整備とエネルギーの安定供給の問題です。広大な地方部では充電設備の設置が進まず、都市部でもバッテリーの充電時間や航続距離への不安が根強く残っています。

また、道路事情や高温多湿な気候など、過酷な使用環境も多く、単に先進的な技術を投入するだけでは「使いこなせない」状況も起こりやすいのが実情です。

こうした背景から、低コスト・高耐久・メンテナンス性に優れた現地仕様のソリューションが求められています。

日本技術との融合で生まれるハイブリッド型ビジネス

日本企業の省エネ技術、高い製造品質、持続可能性への知見を活かしたビジネスモデルが、インドで注目を集めています。

例えば、ある日本の企業はインド企業と提携し、高シェアを誇る日本の二輪車用クラッチ技術と、インド企業の電動モビリティ向け制御技術を融合させました。これは、インド市場に適した電動モビリティ向けパワーユニットと、サービスの開発・事業化を加速させる狙いです。

この協業モデルは、単なる製品販売ではなく、共同開発というアプローチを採用しているため、双方にとって有益かつ意義深い活動となっています。

インドのモビリティ市場は、成長スピードと課題の複雑さを併せ持つ、極めてダイナミックな分野です。日本企業にとっては、単独での展開ではなく、現地ニーズに寄り添った柔軟なビジネスモデルの構築が不可欠となります。

インドビジネスで直面しやすい想定外

インド進出企業が悩まされるのは、以下のような現地特有のビジネスリスクです。

ローカル慣習の違い

支払いサイトの長さや契約交渉の進め方、商談スピードなど、日本と異なる商習慣に戸惑うケースが多いです。対応の遅延や契約内容の認識の違いが生じやすく、注意が必要です。

頻繁な規制変更とその告知の曖昧さ

突然の税率変更や通関要件の追加など、規制変更が頻繁に起こり、かつ事前に告知が曖昧なため、実務に大きな影響が出ることがあります。

法制度の運用の不透明さ

同じ法律でも、担当官や州によって解釈や対応が異なることが珍しくなく、文面通りにいかないケースがあります。

こうした情報は、インターネットや資料だけでは十分に把握できず、実務に即した現場の声が求められます。

なぜスポットコンサルが有効なのか？

リスクに対して、すべてを事前に調べ尽くすのは非効率的かつ時間のかかる作業です。そこで注目されているのが、スポットコンサルの活用です。

スポットコンサルとは、1〜2時間単位で現地の実務経験者や専門家にピンポイントで相談できるサービスのことです。

現地の法規制、慣習、業界事情などに詳しい人材と、必要なタイミングでつながることができ、コストを抑えつつ、信頼性の高い一次情報を素早く入手する手段として注目されています。

具体的に相談すべきポイント例

スポットコンサルを活用する場合は、以下のようなテーマが有効です。

パートナー企業の信用調査

過去の取引履歴、商慣習、支払いトラブルの有無など

関税・通関手続きの最新情報

業種ごとの税率変更、関税優遇制度、書類要件の細かな違い

州ごとの法制度の違いと実務上の運用

デリーとマハラシュトラ州では労働法の適用解釈が異なることも

これらはネット検索や官公庁の資料だけでは得られにくい情報であり、現地で実務を担っている人にしかわからない肌感覚が価値となります。

インドビジネスでは「契約や制度がある＝安心」とは限らず、現場レベルでの対応差や変動リスクに注意が必要です。そのため、情報収集を単なるコストではなく、リスク回避のための投資と捉える姿勢が求められます。

その第一歩として、必要な情報を必要なときに得られるスポットコンサルの活用は、効率よく現地理解を深め、判断ミスを防ぐ手段として有力な選択肢といえます。

外資参入の自由度は業種によって異なる

インドでは、外資の持株比率に関する規制が業種ごとに異なります。代表的な区分は以下のとおりです。

外資100%出資が可能な分野

製造業、eコマース（マーケットプレイス型）、自動車部品、建設機械など

部分出資または合弁が必要な分野

通信、小売（シングルブランド）などは外資比率に上限があり、現地企業との合弁が必須な場合もあります。

政府審査が必要な分

国防機器産業、メディアなど、一部業種では事前承認が求められます。

このように「原則自由」ではあるものの、参入分野によって制度の適用条件が大きく異なる点には注意が必要です。

税務・為替制度にも要注意

インドでビジネスを行う際には、商取引に直接関わる制度にも注意が必要です。

GST（物品・サービス税）

インド全土で導入されている間接税制度ですが、州ごとに実務処理が異なるケースも多く、課税区分の誤解がトラブルにつながることもあります。

FEMA（外貨管理法）

インド国内での資金移動や外国送金には、FEMAに基づく報告義務や制限があります。特に配当送金やロイヤリティ支払いなど、正しい処理が求められます。

こうした法制度は改正の頻度も高く「知っていたつもり」が誤解や法令違反に直結するリスクを含んでいます。

インド市場は外資にとって魅力的である一方、規制の細かさと運用の複雑さが大きなハードルになります。特にモビリティ分野のような注目業界では、環境政策や現地化要求への対応がビジネス成功の鍵を握ります。

これらの制度や実務運用を正しく理解するには、現地事情に詳しい専門家との連携が不可欠です。進出前や事業転換のタイミングでは、信頼できる法務・税務のアドバイザーやスポットコンサルの活用をご検討ください。

株式会社GlobeNexusでは、インド市場に精通した専門家によるスポットコンサルティングを通じ、現地事情の把握から制度対応、戦略立案まで幅広く支援しています。インド進出を検討中の企業は、ぜひ一度ご相談ください。